キス病と呼ばれている病気があります。正式名は伝染性単核症と言うのですが、キスで感染するのでもっぱらキス病と呼ばれています。EBウイルスと言うウイルスが原因です。
このように聞くと「キスくらいでうつるのなら、何もできなくなる」と思う若者が大半でしょう。しかし、キスと言ってもいろいろあります。キス病は、唾液を介してうつります。
EBウイルスが含まれる唾液が体内に入って感染するので、ディープキスでうつる性病だと言えます。また、口移しで食べ物を食べた時にも感染する可能性があります。
ほほやおでこに「チュッ」とする程度のキスや軽いキスでうつる可能性は、ほとんどないので、その点は必要以上に神経質になる必要はないでしょう。
キス病は10~20歳の若者に多く見られる性病の1つです。38℃以上の発熱、全身のリンパ節が腫れる、採血をして検査をするとリンパ球の中に異型リンパ球が増加している、という3主徴が特徴的です。
これらの症状以外にも咽頭痛、体に赤い発疹が出る、まぶたのむくみ、肝臓や脾臓が腫れる、体がだるいなどの症状が見られることもあります。

また、採血検査では肝機能の低下を示すASTやALTやγGTPなどが上昇する、白血球が増えるなどが見られることもあります。肝機能が低下している時は、入院となるケースもあります。
まれですが、脾臓が破裂したケースも報告されています。発熱は1日の差が1℃以上あることが特徴です。
しかし、重篤な合併症がない限り、通常は安静と対症療法をきちんと行えば、数週間ほどでこれらの症状は鎮静化して治ります。
EBウイルスには3歳で80%、20歳で90%の人が既に感染していますが、症状が出ないまま終わることが多いです。幼い頃にEBウイルスに感染しなかった人が、思春期になって初めてEBウイルスに感染すると、伝染性単核症(キス病)を発症しやすくなります。

症状が急性咽頭炎や扁桃炎に似ているため、採血をして検査をしないと咽頭炎や扁桃炎として治療されてしまい、キス病が発覚しないことも少なくありません。
ペニシリン系の抗生剤を使うと発疹が出ることもあるので、咽頭炎や扁桃炎と誤診されないことが重要です。確定診断は、採血をしてEBウイルス抗体価を測定する必要があります。
咽頭炎や扁桃炎との大きな違いは、全身のリンパ腺が腫れるということや、熱の出方が、1日の間で1度以上の差がある弛張熱と言うタイプだということです。いったん解熱したと思っていても、また上がります。
潜伏期は、6週間から8週間です。若い人でこのような症状が見られた時は、6~8週間前にパートナーの唾液を飲んでしまうようなディープキスをしていないか、口移しで食べていないかなどを振り返ってみましょう。

キスでも性病に感染するので注意

近年、若者たちの間で性病が増えています。セックス以外でもキスでもうつることがある、このような性病はあまり知られていませんが、キス病も若者たちの間で増えています。
一昔前は、若い世代がディープキスなどの性行為を行うことはあまりなかったのですが、近年は色々なところから情報が入ります。
先輩が借りて来たDVDなどを見て、大人がやるような性行為を中学生や高校生が真似することが、性病を蔓延させている一因でしょう。
頑固じじいのようなおじいさんに言わせると、「まだ10歳代や20歳代でディープキスだなんて、とんでもない。10年早い」となるのでしょうが、性行為の低年齢化や多様化で性病は増えています。

口の中に口内炎ができていたり傷がついている時は、その傷からウイルスが入り込みやすくなります。キス病を予防するには、口の中に傷がある時は、ディープキスを避ける、口の中を清潔にする、などが大切です。
そして口移しで食べ物を食べるということは、やはりあまりお勧めできるものではありません。キス病だけではなく、虫歯や風邪がうつる原因にもなります。
重症化してから救急外来を訪れた例もありますが、発熱やリンパ腺の腫れ、咽頭痛、だるいなどの症状が続く場合は●週間前にキスをしたということを、医師に伝えて検査を受けましょう。
また、医師が「最近キスをしましたか」、「恋人はいるの」などと聞いてきた場合、からかい半分や興味本位で聞いている訳ではありません。変な医者でもありません。大切な事なので、正直に答えてください。